高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部
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第12回/オール電化リニューアルを
住まいと電化の連載コラム
第12回/オール電化リニューアルを
外見だけのリフォーム施工
新築着工数が極端に減少し、ハウスメーカーや地域ビルダーにおいても淘汰の波が押し寄せています。新築物件を追い求めていた連中がこぞってリフォームの市場に雪崩のごとく参入してまいりました。
外壁、天井、床、壁の内装、建具、キッチン、浴室、トイレなどのリニューアルは、施工者側も手離れがよく、確認申請なども簡単であり状況によっては必要なかったりする場合もあります。したがって、リフォームの工事は我々、施工者側にとって絶好の市場となります。
また施主は、テレビ番組で放送されるような、夢の住宅のようにリニューアルが出来ると希望を持ちます。しかし、使いやすさ、明るさ、清潔感などの見た目を優先したリフォーム施工において、多くの問題も発生しております。
リフォームの目的
施主もリフォームの目的を上記したように、明るく綺麗に出来れば善しとしている方が殆どでしょう。
テレビのリフォーム番組も、テレビ映りの良い、まさに明るく綺麗になれば善しとする内容ばかりといえます。しかし、リフォームにおいて何が得られるでしょうか。
綺麗、明るい、清潔、使い易さは、誰の目にもはっきりと表現できます。したがってリフォーム業者もこぞってこの部分を強調する事になりますが、この綺麗、明るいなどの快適性が、果たして何年間、維持できるかどうかを誰もが問題にしないのです。
快適性の維持とは
綺麗、明るいなどの快適性を恒常的にしかも何十年も維持させるには、見えない部分への徹底した配慮が伴います。見えない部分の最たる部分が壁の中や床下、天井裏などです。
居住空間に徹底した設計レイアウトを施しても、この見えない部分の無配慮が後日、ジワジワと住む人と建物そのものにストレスを与え続ける結果となります。
快適性の維持管理とは、目に見える部分ではなくて、見えない部分がその維持管理に耐え得る機能、構造になっているかどうかで決まります。
床下の乾燥維持は
キッチンなど、床や内装を伴うリフォームを行う際に、絶対に行うべきチェック事項は、床下が常に乾燥状態に維持出来ているかどうかを検証しなければなりません。
どんなに居住空間だけが綺麗で明るくなったとしても、床下が湿気停滞環境のままに推移するという事は、住む人と建物の健康に大きなダメージを与える事となります。
床下の湿気は、外部地盤面の高さと床下地盤面の高さによるところが多く見受けられ、地下水面位(地盤を掘った時に湧き出る水が地盤から何cmのところまで来ているか)の高い地盤面には最大の注意をはらわなければなりません。この場合、床下換気口や電動換気扇で対応出来ない状況に陥っている事も多くあります。
こうした場合は、側溝や暗渠の施工や、吸水ピットといって、敷地内に穴を掘って地下水面位を下げ、機械的にポンプアップする方法があります。
天井裏のリフォーム
屋根材は夏期間の直達日射で100度近くまで温度上昇いたします。したがって、その真下の小屋裏温度が70度以上にも及ぶ場合があります。
この熱が天井面から輻射熱で放射して、床や壁の部材に蓄熱するため、暑苦しいだけでなく、冷房負荷の大きな夏場を過ごす結果となります。
先ず、天井裏の断熱材は北海道なみのグラスウール300mm以上の厚さが求められます。暑さ対策としての断熱材厚さの確保です。さらに小屋裏の暑い熱気を、棟換気口、妻側換気口、軒下換気口などから排熱出来る構造にします。
壁の中のリフォーム
壁の中は日の当たる壁面においては、さしたる問題は起きません。しかし、日の当たらない北側や入隅部分に、腐蝕菌による大きな欠損を持っている場合があります。
また、断熱の断点部分が低温になって、湿気がその低温部分に凝縮して、周辺部材の含水量が増加して腐蝕菌の増殖を促している場合もあります。このような場合は、柱の外側に樹脂断熱材などを挿入して、低温部分を作らないようにするべきなのです。
リフォームによる気密施工
家を高性能にするリフォームにおいて、気密性能を向上させる技術が最も困難とされています。壁と天井、壁と床下との取り合い部分など様々な構造環境でその都度、気密施工方法を替えなければなりません。私は高性能リフォームのための技術を研究してきました。
その結果、樹脂による断熱ボードと現場スプレー発泡断熱の組み合わせで、C値が例外なく1.0cm/m
2
を下回るリフォーム気密工法を実践しています。
気密とオール電化
気密が確保されれば当然ながら換気とオール電化システムとが連動されます。気密とオール電化の連動理由は前回号などに詳しく記述していますので、ここでは省略します。
窓などの開口部は
普通、窓から逃げる熱は、壁のおよそ10倍以上に及びます。しかし、熱をよく逃がす窓からは、太陽熱をよく入れる事にもなります。この窓の性能にも注目すべきなのです。
日射熱をよく入れて暖房貢献するのは善しとしても、その分、冷房負荷を大きくします。窓の性能はその辺りの矛盾した状況を解決するために、夏場の太陽高度と冬場の太陽高度の違いを活用したガラスが既に市販されています。高性能リフォームではこうした窓にそっくり取り替えるくらいの思い切りが必要です。
価格は新築の半額以内で
状況が許せば住んだままで高性能リフォームを完工出来る場合もあります。工事費も、もう死ぬまで家の心配をさせないだけの高性能リフォーム工事を行って、新築の半額以内での施工例が存在します。高性能リフォームは、住む人と家の健康を維持する事を、最大の目的とすべきなのです。
次回は住宅産業の広告宣伝の裏側を記述します。
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