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第16回/家を構成する部材・建材について
住まいと電化の連載コラム
第16回/家を構成する部材・建材について
基礎の部材
基礎はまさに家全体を受け止める最も大切な部位となります。さらにその基礎を支える地盤強度がどのような状態になっているか、SS方式や表面波探査方式などでしっかりとした地盤調査を行って、その地盤の状況にあった仕様での基礎設計が必要です。
基礎コンクリートは価格によってコンクリートの強度が異なります。コンクリートは圧縮強度が強いのですが、引っ張り強度に弱いので鉄筋で補強します。いずれも基礎は出来上がった状態では弱いコンクリートも少ない鉄筋も打設後において見えなくなるものですから、充分な設計に基づいた誠実な施工が求められます。
価格を削りますと基礎そのものの品質に問題が生ずる場合があります。絶対に手抜きの出来ない部位といえるでしょう。
構造材
主要構造物を木材で行う場合は、自然乾燥木材、人工乾燥木材、集成材などがあります。
昨今では殆ど、人工乾燥木材や集成材が用いられるようになりました。昔は、自然乾燥木材が用いられ、木材の収縮でホゾなどの継ぎ手が乾燥収縮で木材が絡み合って強度を増すなどのメリットもありました。
しかし、新建材の普及で、乾燥収縮による内装材や仕上げ木材に隙間が生じるなどの問題が起きるため、人工乾燥木材が使用されるようになりました。
さらに耐震性能を信頼される強度に保つために金物とセットされたプレカットが多く使用されるようになりました。梁などの横架材はむしろ集成材の方が弛みなどがなく、クレームの少ない材料として多く使用されるようになっています。
集成材と人工乾燥木材を複合して用いる場合は、金物に弛みのないような仕組みの高級金物の使用が不可欠となります。
外装材
外装材は窯業系のサイディングが日本国内では最も多く使用されています。このサイディングは北欧などでは殆ど使用されておらず、日本特有の建材といえるかもしれません。
この外装材は価格が安価なものから高価なものまで多くの種類が市販されています。しかし、安価なサイディングは、十年もしないうちに積層剥離でボロボロになったりする場合があります。
また、外壁のメンテナンスは足場が必要となるため、補修より仮設足場の方に費用がかかる場合があり、出来るだけ高温で処理した高価なサイディングを使用した方が結果として有利になります。
見た目ではよく解りませんが、信頼の置ける施工工務店が提案する高価なサイディングは安心できると思って良いと思います。
モルタルも絶対に亀裂の入らないモルタルの施工方法があります。下地ラスをU字金物とスポークと呼ばれる5ミリくらいの鉄筋で押さえ込みます。
三回塗りが常識で二回目の中間塗りの時に網ラスで押さえ込み、乾燥してから仕上げモルタルを塗り込みます。開口部も四隅に中塗りの際に網ラスを斜めに押さえ込み、開口部の四隅からの亀裂を防ぐ事が出来ます。
北欧の建物は殆どこの方式がとられ、モルタル以外の家を目にする事はまれです。日本では住宅を量産するために工期の短いサイディングが普及したものと思われます。
開口部
窓の開口部も日本の場合は、建物の美観を構成する部材として、その意匠性が重視されてきました。しかし、窓からの日射熱の侵入は夏場の暑さを助長しますし、冬場は壁の十倍近くも熱を逃がしてしまいます。
住んでからの快適性を求めるためにはこの開口部の性能を充分に吟味すべきでしょう。
ガラスは、夏は日射熱を遮蔽し、冬は日射熱を取り入れるものとし、結露の起き難い窓枠を用いることで、結果として住む人に快適性だけではなく、冷房や暖房の省エネにも大きく貢献します。
断熱材
グラスウール断熱材は壁の中、床材の中、天井裏に充填され、空気を静止させることで断熱効果を発揮します。しかも、このグラスウールで静止させる空気は常に乾燥している事が前提です。
この高温多湿の日本の気候風土の中で、布団と同じような断熱材に空気を含有させて、長期間にわたって乾燥状態に維持することは至難の業となります。
このような問題を解決するために樹脂系断熱材を柱、間柱の外側に取り付ける外張断熱工法が急激に普及していますが、これも手放しで行えるものではありません。樹脂系断熱材を外壁の下地木材で押さえて、その上から外壁材を取り付けますが、樹脂が痩せて外壁が波打ち現象を起こしたり、熱に弱かったり、火に燃えやすかったりなどの問題もあります。
また屋根、天井との取り合い、床下の取り合い、小壁や小屋根との取り合い施工に、大変難しい施工技術が伴います。私はこのような問題を解決するために、二十年来にわたり研究を行って参りましたが、充填式外断熱方式を開発して、ほぼこのような外張断熱の問題を解決した工法を普及させています。
内装材と換気設備
シックハウス症候群が社会問題になり、今年の七月より建築基準法が改正になり、換気設備を取り付けることが義務付けられました。
今までは換気設備はオプションなどといわれる家が多く供給されてきました。そのため建材に含んだホルムアルデヒドなどの有害物質が空気中に放散されることで、住人に過敏症などの難病を引き起こす現象が多く発生しました。そのための対応策として換気設備を取り付ける事が建築基準法に明記されました。
各建材メーカーは既にホルムアルデヒドなどの有害物質を放散させる内装材を生産供給しない対策がとられるようになりましたが、家具などのように、新築後に持ち込まれる建材以外のものに有害物質を放散するものがたくさん存在します。
また、喫煙や洗剤など、有害ガスを放散するものも多く持ち込まれるため、基準にあった換気設備はやはり忠実に設置する事が重要です。
また、オール電化方式で有害物質を抑制したり、シリカゲルや炭、珪藻土などを用いた内装材に光触媒で有害物質を恒常的に化学分解させて、室内の環境を良好に維持する内装材も開発され供給されるようになりました。
使用する内装材と換気設備の設置は家の気密性能と大きく関わっている事を意識しなければなりません。いずれにしても使用する建材、部材の価格と家の性能は大きな関わりがある事を充分に知っておく必要があります。
次回は寒い家を暖かくする方法について記述します。
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