高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2010.04.20

北海道新聞 「朝の食卓」 2010.04.20掲載

「海外留学の青年」 福地脩悦

空港搭乗者ロビーのガラス越しに泣きそうな顔で手を振る母親と思われる人に、背を向けて飛行機に乗り込んだ青年がいました。
彼は私と同じ飛行機の窓側、私は通路側の座席につきました。
飛行機が滑走を始めた途端、それまで外をじっと見ていた彼の目から大粒の涙があふれ出て、しゃくり上げるような嗚咽が聞こえました。そっと渡した私のハンカチが、くしゃくしゃになってしまうくらいでした。
到着した空港で互いの乗り継ぎ便の待ち時間に彼と話をすると、母親の強い勧めでイギリスに留学することになったそうです。
それが縁で彼は、留学先から私が毎日配信しているブログ「福地脩悦・社長日誌」を欠かさず見てくれてメールの便りもくれるようになりました。
母一人子一人なのに留学を勧めた母親を憎たらしく感じ、その心をわかろうともせず、空港での態度を悔やんでいたようです。
彼は、2年間の留学を終え、就職のためこの3月に帰国したようです。
彼のイギリスからの最後のメールには、成田空港に迎えに来ると言う母親を、自分の両腕でしっかりと抱き、声を出して感謝の言葉を述べますと書いてありました。
2年ぶりに再会した母子の歓喜の光景が目に浮かびます。
彼は、強くて賢明な母親の思い通り、着実に成長したようです。