高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2011.01.26

北海道新聞 「朝の食卓」 2011.01.26掲載

「キャンドルリレー」 福地脩悦

 真っ暗な体育館。1本のろうそくの炎が2本目に点火し、2本が4本、8本と、瞬く間に全校生徒677人の持ったろうそくすべてに火がともりました。
 体育館が淡いあかりに包まれた瞬間、照明が点灯し、最初に目にしたのは生徒全員の達成感に満ちた笑顔でした。昨年秋に私の母校、北斗市立上磯中学校の学校祭のフィナーレで見た感動的なシーンです。
 生徒全員のろうそくに火をつける企画は生徒からの提案。普通なら先生に却下されそうです。ろうが床に落ちる、やけどする、火事が起きかねない。断念させる理由は幾つも見つかります。
 でも、上磯中の教師は「全校生徒の心をひとつにできる」と受け止めました。生徒たちとアルミホイルでろう受けを作り、ろうそくを移動させる順序などを念入りにリハーサルして、問題ないと自信を持って教頭、校長に提案しました。
 学校経営者は、リスクを伴わない学校運営をしたいと思うものです。しかし、たった1人の生徒の理不尽な行為で学校全体が荒んでしまうことを知る上磯中の教頭や校長は、先生たちの声に共感したのです。
 生徒の心に永遠に刻まれたであろうあの幻想的なシーンは、生徒を信頼する先生たちと、学校経営者の勇気ある決断があってこそ。母校の生徒、先生の絆の強さを誇りに思うイベントでした。