高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

お知らせ

2011.07.08

北海道新聞 「朝の食卓」 2011.07.08掲載

「家がほほ笑む」 福地脩悦

 住宅に関するイベントで、省エネと長寿命の断熱法などをテーマに講話をする機会があります。
 ある日、講話が終わった際、女性が近寄ってきました。夫婦で私の住宅相談会に参加したことがあるといい、記憶をたどるとかすかに覚えがあります。ご主人は高性能住宅を強く望んでいたようでしたが、奥さまは奇麗な外観の家に心を奪われていたようです。断熱性能などについての私の話を聞く様子はうかがえず、ご主人をせかして早々に帰って行きました。
 その後、夫婦が建築した家は断熱材の種類と使用法に問題があり、寒さや床の腐れなどで悩むようになります。女性は「あの時、断熱性能が重要と、もっと強調してほしかった」と訴えました。
 ご主人は亡くなり、今は娘と2人暮らしとのこと。リフォームの相談に乗ってほしいと求められ、彼女の家を訪ねました。建築から13年たち、美しかった外観も壁一面に内部結露が浮き出て、泣いているように見えました。仲間の工務店が大規模な断熱改善のリフォーム工事を行いました。
 家は繊細な生き物と同じです。リフォームした家に、施工した仲間と一緒に立ち寄ると、母親は「『快適』をありがとう」と笑顔で迎えてくれます。住む人の笑顔は、家の外観をもほほ笑ませるようです。