構造・建材について
断熱性や防音性、構造の強さなど
2014.08.08
木造住宅の疑問
質問者/北海道・TMさん(会社員・40歳・男)
「木材は生き物」と言っておられた方がいますが、確かに私もそう思っておりますが、ここで、いくつかの疑問を感じます。
1.気密高断熱重視の昨今、断熱や気密を過剰にすることで、木材が数十年も呼吸できるものなのか(動物なら無理) 。
2.木材の人工乾燥は数日で無理やり機械的に乾燥させたものであり、数年かけ自然乾燥させてから加工したものと、違いや弊害はないか?? 私の見た限りでは、水分の吸収が人工乾燥の方が若干多いように感じる。
3.木材の含水率は限りなく0%に近ければよいのでしょうか?? 0%%に近ければ軽くて硬くはなるが、しなりがなくなり耐震面ではどうなのか疑問。
4.高断熱高気密では、湿度の管理が非常に難しく、人体への影響はどうなのか??(寒冷地では、特に冬の外気温度と室内温度の差が30~35度くらいあるのが普通で、風邪を引きやすくなったり、乾燥肌になったりする人が多い)
まだまだ疑問はありますが、こんな疑問を持っているのは、私だけでしょうか。こんな疑問にアドバイスください。
日本の家屋は古来から木材を常に生き物として扱い、家づくりにさまざまな工夫を凝らしてきました。しかし、住宅の大量生産、大量消費の時代を迎え、その思想が生かされなくなりました。しかし、あくまでも木材は生き物であることを前提に家づくりを行うべきです。
回答1
おっしゃるとおりです。家屋を構成する木材全てが、常に空気に触れるように細工をすべきです。これは気密性、断熱性を高めて省エネ住宅をつくるにも工夫によっては可能なことで、すでにそのような技術で家づくりを行っているものも存在します。
回答2
匠の技によって木材は、収縮して狂うことで継ぎ手の仕口が複雑に絡み合い、剛性を増すようになっておりました。また木材に含水量があるため、打ち込んだ釘が酸化して膨らみ、引き抜き強度が増すように工夫されていたのです。しかし、新建材との収縮率が異なるため、人工乾燥を行い、約15%程度まで乾燥させ、新建材の収縮性と整合させるようにしております。
ただ、人口乾燥木材だからといって、自然乾燥木材(自然乾燥ではせいぜい25%が限度ですが、新築後、最終的に人口乾燥剤木材と同等の含水量になる)より、特別水分を吸収しやすいということはありません。
回答3
木材の強度は乾燥率に比例するといわれています。したがって、限りなく0%に近いほうが強度があるということになりますが、空気中には常に湿気があるため絶対に0%になりません。乾燥イコール強度というのはあくまでも木材の圧縮力と引っ張り力の強度だけで、極端に乾燥しますと、おっしゃるとおり、柳の木のような「しなり」に弱くなります。しかし、家に使用される木材はどんなに乾燥しても8%程度までしか乾燥しませんので、乾燥による「しなり」の弱さを心配する必要はありません。
回答4
気密性能と断熱性能を極めていなければ、家屋内や湿度管理はできません。機械で湿度を管理する方法もありますが、家自体が家屋内の湿度や構成木材の含水量まで管理する住宅システムは実際に存在します。当方のホームページに詳細が記載されていますので勉強してみてください。
多くの質問に回答しておりますが、このような質問に回答するのは初めてです。日本の気候風土にフィットした住宅にはやはり、木材の素材の特徴を生かした家づくり行うべきだと思います。質問者の疑問や意見に感心し共鳴いたします。