構造・建材について
断熱性や防音性、構造の強さなど
2015.02.03
高断熱・高気密の省エネ効果とコストについて
質問者/千葉県袖ヶ浦市・NMさん(60歳・男)
千葉県内に火災防止のためにオール電化の住宅を新築したく考えています。最近、高断熱・高気密を売りしたハウスメーカーがありますが、省エネ効果はあることはわかりますが、断熱のための設備コストは冷暖房機の電力コストの節減で採算はとれるのでしょうか。回収期間はどのくらいなのでしょうか。給気と排気を熱交換する全館冷暖房換気システムを推奨されているのですが、コストに見合わないように思えてなりませんが、アドバイスをお願いします。
石油やガスなどの電気以外の熱源を一切使用しない、オール電化住宅が急激に普及してきました。少子高齢化に伴い、生火を使用することに不安を感じることも大きな要因と思われます。住宅の性能は一定以上になれば、オール電化にしたほうが遙かに住む人にとって経済的です。
建築コストの回収期間を問われていますが、省エネのためだけの高気密・高断熱ではありません。部屋ごとに温度差がつきますと、その界壁の含水量が増加してカビの胞子が発生する場合があり、アトピー性皮膚炎や小児喘息の要因となる場合が確認されています。また、温度差によるヒートショックで負傷する人は交通事故者を超える数値となっています。確かに千葉県において熱交換式換気扇を装備しても、コスト的には、シロッコファンを2個も使用しているので、北海道と異なり、電気料金に見合う熱回収は無理です。しかし、冬の乾燥時期において湿気を一緒に回収することで、家の中の潤いを維持し、夏場の大量の外部湿気を入れない効果があります。
また、確立した高性能住宅では、100年近くも大規模改修を必要としない、次世代高耐久仕様や冷房と暖房双方の省エネをクリアした次世代省エネ仕様などの技術を確立したものもあり、相対的なメンテナンスや建て替えコストまで計算に入れれば、かけたコストの何倍も得をする住宅システムも存在します。つまり、コストをかける意義のほうが重要であると思います。
また、単に高気密・高断熱と銘打っても実態の伴わないものがたくさんあるだけでなく、高気密・高断熱を行うには、その副作用を防ぐために多くの対策が必要になります。安易な高気密・高断熱は家の寿命を短くしたり、夏場の冷房負荷を増大させる場合があります。十分に知識と経験のある工務店を選択すべきでしょう。