結露と換気の問題
窓の結露や壁のカビ、床下の換気の悪さなど
2021.10.08
断熱の方法と換気システムの疑問
質問者/富山県富山市・小中さん(会社員・33才 男性)
私は現在家を建てようと思案している者です。このページのご意見いろいろ参考になります。
特に、壁内の結露関係の話は、なかなか聞けない事ばかりで、建てるための勉強が必要だと痛感させられました。
この点についてお聞きしたいのですが、通風層を設けずに建てる場合は24時間換気システム以外になにが必要なのでしょうか。
正直な話し、2、3件のメーカーとは進行中ですが上記の換気システム等を設置すると坪50~60万円の家になりとても手がでないのが現状です。
このメーカー各社はどれも坪35~45万円以内で建設してくれる所で、壁内結露法はグラスウール系の内壁型とスタイロ系の外壁型とに大別できます。
グラスウールよりもスタイロ系の方が水を吸い込まない事はわかりましたが内壁型より外壁型の方がいいと言うメーカーの説明がどうしてなのかわかりません。
安くていい家を建てるためのアドバイスいただければと思います。
上記の様な金額では所詮、いいものは無理なのでしょうか。
メーカーのウリは、メーターモジュールで広く、4寸の柱使用(木造工法)
各照明類、家具類ついての値段と言うことです。
何分、何も知らない者なので皆さんにお教え頂ければと思っています。
宜しくお願いします。
先ず通気層の有効性について様々な議論があります。少しでも日光の当たる壁面には大きな効果があります。しかし、一切日光の当たらない北側の外壁面に通気層を設けても、その効果が発揮されない場合が多くあります。築10年以上しますとその効果と問題点が具現化します。通気層は使用する外壁材、断熱材、気密層の取り方、立地環境、ライフスタイル、特に北海道と本州の日本海側、太平洋側でかなり異なります。対策は断熱材の種類を正確に使い分けして解決することができます。
・気密と断熱の伴う住宅で、通気層と換気をリンクさせることは大変リスクが伴います。通気層に換気をリンクさせず、独自の換気装備は必ずしすべき事と思います。集中換気システムを装備しますと材工ともで数十万円はかかると思います。集中換気システムでなくとも、換気経路を加味した簡易な換気を安価に施す方法はあります。しかし、やはり金額に見合う性能である事は言うまでもありません。
・グラスウールは空気を制止させて断熱します。素材に剛性がありませんので、内壁と外壁の間に充填しますが内断熱法とも言います。スタイロ系とはスチレンフォームのことで、断熱材がボード状になっており、素材に剛性があることから、柱や間柱の外側から打ち付けますが外断熱法とも言います。
・内断熱法と外断熱法の決定的な違いは、蓄熱量(熱容量ともいう)が、著しく違います。内断熱法は、断熱層の内側に熱を蓄える部材がほとんどありませんが、外断熱法は断熱層の内側に位置する構造材、内装構成部材が蓄熱いたします。
・あまり知られていませんが、高気密、高断熱に加え、高熱容量の性能を持つことは省エネ効果だけではなく、暖房や冷房の熱そのものを一旦その部材が吸収し、輻射熱で放射する効果があります。体に優しい質の違う冷暖房を行うためにも外断熱法を推奨します。しかし、スチレンフォームやウレタンフォームのような外断熱法に向いた樹脂断熱材は、火や熱に弱いという難点を抱えています。こうした問題を克服した断熱方法もありますので研究して下さい。
・住宅を建築するにあたり、その予算の配分は、地盤調査、基礎、断熱、気密、窓や開口部、屋根素材、壁素材、換気、電気、給排水設備などの予算を削ってはいけません。この部分は竣工後、視界から隠れてしまいますので軽視しがちな部分ですし、業者が最も価格調整しやすい部分でもあります。一方、建具、内装、システムキッチン、家具、照明器具などは消耗品として考えるべきでしょう。住宅の価格は必ずその性能に大きく関わります。
・従来日本の住宅は、坪単位つまり、1.82m×1.82m=3.3㎡(1坪)を基準にしてきました。メーターモジュールは、2m×2m=4㎡(1.2坪)を基準にして建築されます。従ってメーターモジュールで10m×10m=100㎡の住宅を坪換算にしますと、100÷3.3=30坪の絶対面積にかわりはありません。しかし、施工する際、建具や部材が、2m×1m(尺モジュール 1.82m×0.91m)と大きくできているため、作業を合理化することができ、その分の建築コストを削減できます。しかし、日本人が慣れ親しんだ実際の広さの6畳間、8畳間といったような概念が通用しなくなります。
・住宅の建築を価格で決めることは大きなリスクを背負い込んでしまいます。建築費を安く上げて住宅ローンの支払いが軽減されても、冷暖房費の膨大、保守コストの増大、住まいのストレスが続く、医療費が嵩む、二十数年で建替えなどと、結果として高い住宅となってしまう場合が多いのです。