工事ミス・トラブル
床下浸水やアルミサッシの歪みなど
2023.05.30
防風透湿シートの破れと家の揺れ
質問者/秋田県秋田市・Aさん(会社員・54歳・男)
質問は2つ。住んでいるところは日本海からの風が吹き付ける。
一つは、家の屋根は切妻で、建築中に切妻の三角で、小屋裏にあたる部分の防風透湿シートが強風で一部破れていたが、貼りなおさないまま外壁を貼っていたことを入居後に知った。とりあえず、破れていつところをテープで塞いだが、シートにシワがよっているためまた切れていた。建設したところは、小屋裏だからそんなに関係ないとは言いますが、小屋裏には断熱材も入っていて今後のことを考えると心配です。例えば、外壁の損傷で、破れた所から雨漏りとか。
本来なら外壁をはいででも、張りなおしてほしいが、今後はどのように対応したら良いかアドバイスをいただきたい。
もう一つが、家は建て替えのため、地面を一メートル近く掘って、前の家の基礎を取りのぞいた。地盤調査では、補強の必要なし。基礎は連続布基礎。家は軸組み+パネルですが、強風の時に2階が揺れる。一階も寝ているとゆれを感じる。2階の揺れは、前の家のよりもゆれる感じがする。木造はこんな物って言いますが、本当にそうでしょうか? 建て替えてから揺れにくいとおもいました。この揺れから、基礎工事は大丈夫だったのかと感じてしまいます。
今後、どのように家を監視していくとよいでしょうか? お手数ですが、アドバイスよろしくおねがいします。
外壁下地の防水シートが破れていますと、外壁から漏水した水を逃がすための構造になっておりません。
本件の住宅が雨漏りの事象を起こした場合、平成12年4月以降の竣工物件であれば、住宅品質確保促進法の瑕疵担保責任の対象になりますが、この竣工日時がポイントになります。瑕疵担保責任という法律は雨漏り事象と構造体の不具合に対して「竣工時の瑕疵」が対象になります。本件は建築中にその状況を把握している訳ですから明らかに竣工時の瑕疵になります。しかし、雨漏りの事象が起きてから始めてこの法律が適用されます。適用期間は竣工から10年以内ですのでこの期間に雨漏り事象が発生した場合、この法律を理由に施工者側にその責任を求めることが出来ます。この瑕疵担保責任という法律は義務化されておりますので、施工者に毅然として対応を求めることが出来ます。
建物の揺れの件ですが、パネルを組み込んだ軸組み構法の場合、壁倍率が通常の軸組構法より高くなる場合が多いのです。このような常識から考えますと以前の建物より揺れ難くなるのですが、例外もあります。地盤調査を行なっているので、地盤の地耐力が優れているということでしょう。通常、地盤調査を行ないますと多くが何らかの地盤補強を伴う場合が多く、何もしなくても良いということは相当の地盤に対する余裕があるからだと推測されます。ところが、このように地耐力の高い地盤と建物の剛性がフィットした場合、このよう
な現象を起こす場合が考えられます。地盤波長と建築物の剛性波長が重なった時にこのようなことが起こり得る可能性があります。少しの地震にも敏感に建物の揺れを感じさせる場合があるのです。本件は地震でなく、風圧で一階に居ても揺れを感じると言うことですが、やはり剛性波長の可能性は高いと思われます。
このような建物は、壁倍率が確保されていると思われますので、大きな震災や台風などに見舞われても、充分に耐え得る強度が確保されていると思われます。しかし、壁に目立つような亀裂などが発生した場合などは、その壁倍率に関係する耐力壁がアンバランスに配置されている場合があります。このような場合も、竣工時における構造体の不具合と見ることが出来るので、雨漏りと同じく、瑕疵担保責任の対象となると思われます。