契約・法規のトラブル
業者側のミスで発生した補修工事費用など
2009.01.10
住宅瑕疵担保履行法について
質問者/群馬県高崎市・TMさん(会社員・33歳・男)
年内着工を目安にしているものですが、最近、住宅瑕疵担保履行法というものを目にしました。建て主にとっては救いの保険だと思うのですが、平成21年10月1日から始まるらしく、それまでに完成してしまう場合、任意で加入と書いてありました。施行後は業者が保険料を払って加入となっていますが、施行前は個人負担になってしまうのでしょうか。
グレーの期間で非常に困惑しています。どのように対処したらよろしいのですか。
平成12年4月以降に竣工した新築住宅は、全て瑕疵担保責任という法律の対象となります。これは、雨漏りと構造体における竣工までの「瑕疵」(ミス、欠陥、あるいは説明のつかない事象)に対して、販売者、あるいは施工者は、10年間にわたり、責任を持って対応すべきという法律が義務化されました。この法律の施行後に、姉歯建築士による、構造計算偽装事件が発覚いたしました。
この偽装事件は明らかに竣工前の瑕疵にあたり、建築士、施工会社、販売会社の法的な責任は明確です。しかしご承知のように、建築士は逮捕され、施工会社と販売会社が相次いで倒産してしまいました。法律で保護されていても、責任を負うべき対象者が破綻すれば「無い袖は触れない」ということになってしまいます。
結局、税金で一部を補填して被害者対応をせざるを得なくなりました。
来年の10月1日からは「お金の無い人は、家をつくるな、売るな」という、「供託金制度(一棟1,800万円プラス1棟ごとに200万円加算)を供託金として10年間積み込みする」が施行されます。このような供託金を支払えない業者は、瑕疵保険に加入しなければ竣工引き渡しができなくなってしまいます。
瑕疵保険とはそのような保険であるということを知っておく必要があります。
そもそも、瑕疵担保責任と言う法律は、保険、保障制度と言うより、販売者、施工者の責任を明確にする法律です。
本件の質問のように、保険に入っていてもいなくとも、瑕疵責任は法的に担保されています。
現在でも任意で加入する瑕疵保険と言う商品は存在しますが、これは法的な責任と問われるような瑕疵事象が発生した場合、工務店が保険を適用して対応するためものです。
また個人負担か業者負担かと言う問いですが、工務店やハウスメーカーが業者側で負担しますと言ったところで、見積書に記載されていないだけで、様々な物品価格、施工価格、諸経費などに潜在させているだけです。
膨大なCM料や宣伝チラシなども、回りまわって結局は、建主さんが支払っているのです。
瑕疵保険制度の施行後は、約10万円程度の瑕疵保険料がかかりますが、これも結局は建主さんが支払う事になります。
我々のような施工業者は、新築もリフォームも建主さんからお金を戴いて生業を為しており、建主さん以外にお金を戴くところは存在しません。
したがって本件は、施工業者が倒産などの事故に遭わない限り、質問者の心配は、ご無用であると思われます。