2009.07.18
保証の範囲と寿命
質問者/群馬県太田市・MSさん(会社員・41歳・男)
過去に類似の話題があった場合はご容赦ください。相談に乗ってほしいのですが、よろしくお願いいたします。
在来工法で9年前に建築いたしました我が家なのですが、6年位前から窯業系サイディングの外壁のコーキングがあちこちで剥離してしまいました。また、それが原因かは不明ですが、一部窓枠がふけてしまっています。
少しの隙間だったので、自分でコーキングを購入して届く範囲で塗布したのですが、最近特にひどいので、建築メーカーに相談に行きました。すると、即日、診に来たのですが、「建材メーカーに一任します」というようなことで、建材メーカーとの話し合いになりました。1週間ほどで、建材メーカーの担当者が視察にきましたが、「コーキングの剥がれは、施工時のプライマー処理が適切に行われなかったことによるものですが、年数的に観ると交換時期です」ということでした。ただ、サイディングがずれて、固定金具から外れているところがあるとの指摘でした。
建材メーカーから、建築メーカーへ報告書が提出された旨が、過日私のところにありまして、修理の見積もりを提出しますとのことなのですが、建物の保証に関して触れると「家電製品でも保証期間内に寿命がきます。コーキングは消耗品です」といっていますが、外壁の外れから含めて補修費用を出さなければならないのでしょうか?
外壁の保証内容について、以下に記します。
建築メーカーとの話し合いについて適切な方法をアドバイスください。よろしくお願いいたします。
(保証対象部分)壁 内装外装の表面仕上げ部分、開口部分、建具を除く。
(基本的性能)荷重の支持
(保障期間)10年
(性能基準)壁は、傾斜、たわみ、破損などにより、次のような現象が生じるまで、基本的性能が損なわれてはならない。
なお、コンクリート・しっくい等による壁に、材料の収縮による軽微な亀裂又は隙間が生じるのは通常避けることができない現象であり、基本的性能を損なうものではない。
(現 象)
1.建具の開閉が困難で調整が不能である。
2.壁に構造亀裂が生じている。
3.壁の面外にたわみが生じている。
4.前2,3が原因となって表面仕上げ材が破損している。
5.補修費が再建築費の20%以上になる損害が生じている。
(基本的性能)防水
(保障期間)10年
(性能基準)外壁は、雨水が侵入して室内仕上げ面を汚損し又は室内にしたたるまで、基本的性能が損なわれてはならない。
本件の場合、質問に「一部窓枠がふけてしまっています」という文言がありますが、その理由が窯業系サイディングのコーキングや取り付けの不具合が前提となっているように思われます。
まず、その「一部窓枠がふけてしまっています」の要因が何であるかの確認が必要です。
窓枠のふやけの要因で、窓ガラスや窓枠の結露によるものが多いという実状があります。
建材メーカーの保障内容としても、外壁材だけが要因で漏水する確率が極めて少ないので本件のような保証書を提出できるものと思われます。
しかし、実際は、外壁材そのものより、施工不備や通気層や窓枠周りの防水処理などの不具合が漏水の要因となっている場合が多いのです。
したがって本件は、建材メーカーより、建築施工の会社と交渉すべき案件です。
9年前の竣工は、瑕疵担保責任の対象となる前の年度です。したがって雨漏りであっても、残念ながら法的に、その責任を施工者、販売者に負わせることはできません。
本件の場合、結露なのか雨水漏水なのかをこの時点で断定できません。その要因によっては対応策が全く異なりますので、要因調査を最優先すべきでしょう。
関係業者の対応も早く、決して投げやりな業者ではないように思われますので、冷静に根気よく建築メーカーと交渉されることが賢明と思われます。