工事ミス・トラブル
床下浸水やアルミサッシの歪みなど
2009.12.08
浴室の洗い場が盛り上がってきた 2008.12.08掲載分
質問者/東京都板橋区・MIさん(会社員・42歳・男)
建築士に設計・監理を依頼し、中小の工務店施工により重量鉄骨外壁ALCの5階建ての賃貸併用住宅を建てて11年ほどになります。自宅は5階部分で、在来工法(図面にはシート防水とあります)で浴室をつくりました。4~5年ほどから浴室の一部のタイルの剥離と隅のクラックがひどく、一度、設計した事務所が手配した業者さん(タイル工事)に見てもらい、タイルの張り替えを検討されてはいかがかと言われました。タイル張り替えであれば大したことはないかと様子を見ていたところ、浴室の壁面の合わせ目や浴槽とタイルの隙間のひび割れがかなりひどくなりました。原因は、最近ひどくなった浴室の洗い場面の盛り上がりに関連しているようです。今では、当初より4~5センチは洗い場が持ち上がってしまい、洗い場に接する立ち上がり部分のタイルは全部剥離してしまい、隅は大きなクラックになっています。浴槽と洗い場も同様です。そのような状況なので、浴槽内でシャワーを使うようにし、洗い場は怖くて水を流さないようにしています。じっくりとよく観察をしましたら、どうやら浴室の下の何かの膨張がどんどん進行しているのが原因のようです。そんなことってあり得るのでしょうか? 浴室に接する外壁のALC板も内部膨張により、その一枚が膨らんでずれてきているのに、つい最近気がつきました。深刻な状況のようなので、根本的に対処をしなければならないと思っていますが。
まず、考えられる原因を教えていただければ、誠にありがたいです。それと、10年過ぎて、施工業者さんには施工上の問題を主張できるものでしょうか? 今あわてて、現在の風呂を一度、全部解体撤去し、ALCの部分補修をした上でユニットバスに交換することを、リフォーム会社に相談しようと思っております。アドバイスをお願いします。
大変に不思議な状況で驚いておられることと思います。広島県で本件と同じような床が盛り上がる現象がありましたが、本件と同じく水まわりで発生しておりました。
文書だけで断定できませんが、考えられる要因として、有機性防水材の「加水分解」現象があります。加水分解というのは、樹脂などの有機性の防水材において、施工現場で複数の原液を配合して施工するものがあります。この配合バランスを逸したために水に反応する成分が多くなり、本件のような現象が起きる場合もあります。いくつかの環境が重なりますと、場合によってはコンクリートを押し上げるほどの強い膨張力が起きることがあるといいます。しかし、本当に稀にしかこのような現象を起こしませんし、狭い浴室の範囲で4~5センチの盛り上がりは加水分解の域を越えており、必ずしも加水分解と断定できません。
いずれにしても放置しておきますと、やがて階下への漏水事故や外壁ALC板の破壊による雨水漏水に発展することも考えられますので、早急に措置を講ずべきです。計画のとおり、バスユニットに取り替える際に要因が確認できると思いますので、その部分を除去すべきでしょう。バスユニットにしますと防水シートが不必要になりますので、以後このような事象は発生しなくなると思われます。本件が明らかに「加水分解」が原因となりますと、施工時のミスということになります。
10年経過の案件で施工者に責任を負わせるのは、かなりの困難を伴うと思われますが、一応、実情を知っていただき少しでも補修作業に協力させるためにも、施工工務店にアプローチを行うべきと思われます。