構造・建材について
断熱性や防音性、構造の強さなど
2009.12.16
外張り断熱の熱橋としての庇について 2008.12.16掲載分
質問者/熊本県八代市・カエルッピさん(主 婦・34歳・女)
ポリスチレンフォームでの外張り断熱(木造軸組)、基礎は内断熱、べた基礎(防湿シート張り)、外壁は乾式の総タイル張りの総2階の家を建てようと考えています。外張り断熱の施工性を高めるため、形もいたってシンプルな直方体にしています。また、熱橋のこと、水漏れを考えて、バルコニーはつけないことにしました。しかし、庇についてよくわからず質問しました。
1階の窓《(縦1300ミリ・横1300ミリ)の2ヵ所と(縦1300ミリ・横650ミリ)1ヵ所》の上に、庇をつけようと計画しています。庇は上側の外側から、フッ素鋼板、平葺きゴムアス系ルーフィング張り、ベニヤ板、となっています。下側の部分は、ケイ酸カルシウム板張りエマルグラニッド吹き付けです。庇は夏の暑さを遮り、冬の暖かい陽射しは取り入れるという、とても便利な機能を持っていると思います。しかし、外張り断熱を行う場合は、その部分が熱橋になり、結露の原因となり、家を腐らせてしまうのではと心配しています。また熊本県なので、台風もよくきます。風にあおられ、庇が動くことで、外壁への取り付け部に力がかかり、雨水の浸入やクラックの原因になるのではと心配しています。
家を長持ちさせるためには、庇は取り付けないほうが良いのでしょうか?
庇は、日射遮蔽と家全体の紫外線劣化防止に大きく貢献します。庇は、できるだけ取り付けることをおすすめします。
熱柱のことを心配されていますが、寒冷地と異なり、熊本のような温暖地では、結露や腐朽菌を伴うまで、熱柱弊害を起こすことは考えられません。氷点下になり難い本州では、外断熱における効果を、熱損失係数で熱収支を行っても、熱柱によるヒートロスは極めて少ないものです。しかし、夏場において温暖地での外壁の表面温度は、日射熱を受ける場所で60度を超える場合があり、夏場の暑さ対策や冷房負荷軽減には大きな効果が認められます。外断熱効果は、寒冷地で冬季間の暖房に、温暖地の夏季間の冷房にそれぞれ貢献し、計算で裏づけすることもできます。
本件の庇の件ですが、熱柱を考慮することはありません。庇を受ける構造部材の熱柱部分は熱収支上、極めて少なく、周辺の温度に影響され、熱柱弊害を起こすことはありません。庇は日射熱の遮蔽だけでなく、外壁がもっとダメージを受ける紫外線を防ぎます。昔の家は東西南北すべての庇を長くしました。雨と紫外線から家を保護する目的がありました。
庇の取り付けは熱柱以前の問題で、台風などの暴風雨に耐えるよう、まず、強度が要求されます。施工者と十分に協議して施工計画を立案してください。