高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

構造・建材について

断熱性や防音性、構造の強さなど

2010.04.07

ベタ基礎の防湿シートと型枠について 2009.04.07掲載分

質問者/東京都港区・ISさん(42歳・男)

 現在、自宅を新築中で、ベタ基礎の立ち上がりまで済んでいます。以下について教えていただければ幸いです。
 基礎工事は、地ならしに続いて割栗石を敷きつめ、砕石を撒いて表面をならした上で、鉄筋を組み、セメントを流し込みました。砕石を撒いた後には防湿シートを敷かず、捨てコンも行われませんでした。防湿シートは、それを敷くとその下の砕石やさらに割栗石とセメントがからまなくなるからだ、と説明されました。阪神大震災以前は、基礎に防湿シートのようなものは要求されておらず、むしろ敷かないほうが、セメントが鉄筋の下の砕石とからんで望ましいと言われました。本当でしょうか。割栗石の下の地面からの湿気で、セメントや鉄筋部分が早期に劣化することはないのでしょうか。
 ベタ基礎の耐圧盤へのセメント打設から3日を置いて、立ち上がりの鉄筋部分に金属製の型枠が組まれ、セメントが流し込まれました。ただ、型枠を組んだ時点で、セメントとの固着を防ぐために、金属製の型枠の内側に剥離剤がスプレーされたのですが、その剥離剤が大量に鉄筋に付着しました。剥離剤の油で鉄筋は黒く光り、また、立ち上がり部分の底部に溜まった剥離剤が型枠の下の隙間から外の耐圧盤の表面部分に染み出ていました。素人考えですが、剥離剤は金属とセメントとの固着を防ぐためのものですから、鉄筋部分に付着したら鉄筋とセメントとの緊結が不完全になり問題あると思うのですが、いかがでしょうか。また、底部に溜まった剥離剤により、耐圧盤のコンクリートとの結合も悪くなると思います。それとも、鉄筋に油が付着することで、かえって錆が生じにくくなるというメリットでもあるのでしょうか。底部の剥離剤はコンクリートに吸収されて問題ないのでしょうか。また、そのような型枠は中1日ではずされました。早過ぎないでしょうか。
 以上、よろしくお願いいたします。
 通常、割栗地業の上からポリフィルムの防湿シートを敷くのが防水手法です。しかし、実際は、そのフィルムの上で、鉄筋の組込み結線やコンクリートの打設作業を行う際、穴だらけにしてしまい、効果がほとんど期待できないのが現実です。床下の防水を、0.1ミリ程度のポリフィルムを敷設したことで安心できるものではありません。
 床下換気口が南北に風が抜けるようになっているか確認してください。ベタ基礎は床下換気口を省略する工法もあります。その場合は、地下水面位(地盤面を掘ったら何センチで水が出るか)が高い地盤面において、側溝や暗渠などを設けて水面位を下げることができます。もともと、地下水面位が低い地盤においては、床下通気さえ完全に行えば、防湿シートの有無を気にすることはありません。確かに、シートを付けないほうが、コンクリートが割栗の隙間に浸透してコンクリート剛性を増すといえるでしょう。
 剥離剤の心配ですが、コンクリート剥離剤は塗料と異なり、極めて薄い皮膜層を形成します。また、その剥離効果期間も限られている関係で、打設数日後に外す作業にかかります。期間が経ってしまいますと剥離し難くなるため、コンクリートに余計なダメージを与えることがあるからです。本件の中1日は、少し気が早すぎるきらいがありますが、丁寧な作業であれば大丈夫であると思います。型枠の底部などの剥離剤は、コンクリート打設の際に両サイドに押し出されますので心配はありません。剥離剤を鉄筋に付着させることは好ましいことではありませんが、強度に大きく影響することはないと思います。