高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

工事ミス・トラブル

床下浸水やアルミサッシの歪みなど

2010.07.12

かびの発生で悩んでいます 2009.07.11掲載分

質問者/札幌市東区 SMさん(公務員 42歳 男)

 この住宅は設計事務所に依頼し1階をブロック二重積み、2階は2×4構造で1~2階ともコンクリートスラブの温水床暖房です。
 12月頃からコンクリートの湿気抜きのため、床暖を4ヵ月くらい運転しながら3月に完成しました。冬は暖かく夏は涼しく快適なはずが、このところの長雨で畳全てに表面以外、青かびがびっしり発生しました。またクローゼット(作りつけ、扉無し)内の衣類もかび臭くひどい状態です。
 他の設計事務所数件に同様の構造の施工例でこのような事例はなかったか問い合わせたところ、対策を講じているため例はなく、それは考えにくい極端な事例だと言われました。原因として、通気の状態が悪く、風が通らず湿気が滞留している可能性があるとの指摘を受けました。確かに、北から西への風が抜けにくくなっており(開口の位置、窓が少ない)、また結露の原因ということで換気口を設けていません。
 私としては、コンクリートブロック自体吸湿性があり、このような1週間程度の雨は充分考えられるため、それを回避するような設計を講じるべきではなかったのか問いただしたところ、設計自体にミスはなく、数年様子を見るように言われました。
 雨が降る毎に畳を上げ、乾燥しなければならない住宅を設計したことに原因があるので、責任を持って対処するように申し出たところ、対策は考えてみるけど費用は自分でということでした。私は、この言葉に釈然とせず、設計料を(100万円)払った意味がないのではないか疑問を感じました。
 改善策と改善費用をどうするか、ご教授願います。また、欠陥住宅だとすれば、今後泣き寝入りのままローンを払い続けることに憤りさえ感じます。よろしくお願いします。
 本質問に施工者のことが記載されていませんが、設計事務所が主導権を持って建築されたものと思われます。
 こうした構造の設計には軽量コンクリートのブロックの構造計算とその意匠が大変重視され、湿気対策や温熱環境への配慮が行き届かない場合が多くあります。こうした時は施工経験が多い施工工務店と設計事務所とが、施主のために大いに議論し、ともすれば施工しないくらいの葛藤が必要です。しかし、設計士を先生といい、施工者に口を挟ませない状況にあるのがこうした問題を潜在させる要因のひとつです。正直言って、温熱環境や蓄熱設計、大気の湿気を侵入させない技術などを持っている設計事務所は非常に少ないのが現状です。
 設計事務所が設計と監理だけを行った場合には、その瑕疵に対して責任を負わせることは至難の技です。設計施工の工務店であれば言い逃れはできません。しかし、設計と分離した場合、設計図に簡単な防水仕様が記載されていれば、設計事務所に施工のせいだと言う逃げ口上を与えてしまいます。実際にそうした施工不備が原因の場合も少なくありません。したがって設計事務所にだけ責任を持たせるのは少し無理があると思います。事情を関係者に知っていただき、設計士、施工者、そしてSMさんも含め、当分の負担を持ち合うことが解決の早道と思います。
 本件の問題解決のための方法としては、ブロックの表面防水を徹底します。立派な防水塗料が多く市販されてありますので、塗装防水で処理できると思います。これはあまり費用もかかりませんので早急に実施すべきでしょう。
 次に結露が嫌で換気口を取り付けなかったということですが、大変な間違いです。このあたりで、設計士の温熱環境に対する技量が未熟であったと判断できます。適当な場所に換気口というより、送風機のついた換気扇を取り付けるべきです。結露を防ぐために断熱ダクトを用いて中間換気扇を装備します。さらに押入れや湿気の多い場所に除湿機を設置して、根気よく湿気を除去してください。
 この順番で処理すれば問題は解決します。除湿が終わった後も除湿機は設置したままにしておきます。内側で発生した湿気を除湿機で取る必要があります。内側からブロックに湿気が侵入しますと、せっかく塗った防水塗料を内側から破壊してしまう場合があります。
 設計ミスとか施工ミスとかの責任を追求するより、そうした未熟な設計と施工者に発注したSMさんにも責任の一端はあると、考えるべきでしょう。