契約・法規のトラブル
業者側のミスで発生した補修工事費用など
2010.07.17
2階床の結露と品質保証住宅について 2009.07.17掲載分
質問者/富山県高岡市・Kさん(会社員・33歳・男)
昨年の夏、建売住宅を購入いたしました。先日、寝室として使用している2階のフローリング床への結露が見つかりました。
昨冬、ある日気づくと布団の裏側の一面がカビだらけになっていたのですが、原因がわからず「不思議だなぁ」と思って過ごしていました。今冬は、あるよく冷えた朝、床に水溜りができていることから、結露であることに気がつきました。
フローリングの継ぎ目には黒いカビが発生し、一部では床材自体が少し盛り上がってきている状態です。部屋は北向きで、水蒸気を発生させる暖房機器は使用しておりません(エアコン暖房とハロゲンヒーターを使用しています)。部屋は寝るときにのみ使用しており、フローリング床の上にカーペットを敷き、その上に布団を敷いております。
また、結露が発生した部屋の中でも結露する場所としない場所があります。結露しない場所は1階が居間、結露する場所は1階が玄関となっています(朝晩、玄関は外気温と同じくらいに冷え込みます)。
このことから結露の原因は、
・部屋が北向きであること
・2階ではあるが、床と床下との温度差が大きい
ためであると考られます。
ということで、売主の会社から調査に来ていただきました。原因につきましては売主の会社の方も「断定はできないが、おそらくそういうことであろう」とのことでした。しかし、「1階と2階の間には断熱材は入れない。一般的にどこでもそうである」「補修を行う際には有償となる」といわれました。
しかし、私の購入した住宅は(財)住宅保証機構の「品質保証住宅」として保証されています。
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・一戸建住宅性能保証約款 第4条(短期保証)
(前略)別表に定める短期保証基準に違反する事象が保証住宅に発見された場合には、自らの責任において保証住宅の修補を行い、又は修補に代え、もしくはその修補とともに損害賠償を行う責任を負います。(後略)
・別表(短期保証基準)
保証対象部分:断熱・防露工事(壁、床、天井裏等の断熱、防露工事を行った部分)
保証期間:2年
短期保証基準:壁面、押入れ、床下等は、水蒸気の発生しない暖房機器の通常の使用により、結露水のしたたり、結露によるかびの発生等の事象が生じてはならない。
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条文を読む限りでは、私の家のケースは保証範囲にあり、無償で補修を行っていただけそうな気がするのですが、売主の会社の方は「品質保証住宅とは家が傾いたりしないように10年間保証するものだ」とおっしゃられ、有償を主張されています。
「住宅性能保証」の富山県内での窓口機関である(財)富山県建築住宅センターへも電話で問い合わせましたが、短期保証基準についてはご存知ないようで有効な回答を得ることはできませんでした。このような場合、私はどのように対処すればよいのでしょうか。
2)和室の床について
同じく、2階和室の畳の上にもカビが発生しています。
この部屋は、北・西・南の3方向で外壁で囲まれており、1階は吹きさらしの車庫となっております(やはり床と床下との温度差が大きいと思われます)。この部屋は普段使用しておりません。廊下側の戸は通風のために常に開けてあります。
売主の会社の方に調査してもらったところ、「使用していない部屋は空気が滞留して畳がカビやすい」「イ草が青いうちはカビやすい」「カビは畳の表面だけなので、拭けば問題ない」とおっしゃっていかれました。が、その後、畳をめくってみると、畳の裏面(ビニールが張ってあります)に白いカビが発生しており、床板は一部が濡れている状態でした。
今は使っていない部屋なのですが、将来この部屋で暖房を使用するようになれば床下との温度差はさらに激しくなり、カビが多く発生するのではないか? このカビの発生も購入してから2年以内の今であれば、「品質保証住宅」の保証範囲内として、何か補修をしていただけるものなのではないか? と、悩んでおります。
以上、2点につきまして、何かひと言ずつでもアドバイスをいただけると、たいへん助かります。長文となってしまい誠に申しわけありませんでしたが、どうか何卒よろしくお願い申し上げます。
業者が言っている10年保障というのは「瑕疵担保責任」といって、雨漏りと構造体に対する竣工時の瑕疵(家の傾きも含む)に対して10年間、施工業者が責任を負うことが義務化されています。保証というより、その責任を法的に義務化されているに過ぎません。
本件は明らかに断熱と気密性能不足による結露現象と思われますが、生活発水量(生活する際に発生する水蒸気)によっては、どんなに気密と断熱の性能を上げても結露が発生する場合があります。
したがって、
【(財)住宅保証機構の「品質保証住宅」の保証期間:2年・短期保証基準:壁面、押入れ、床下等は、水蒸気の発生しない暖房機器の通常の使用により、結露水のしたたり、結露によるかびの発生等の事象が生じてはならない】
この条項は、あくまでも家の性能に欠陥があることが前提となりますが、結露の要因がライフスタイルと大きく関係するため、実際に保証金で補修させるには、非常に難しい対応が求められます。
本件の問題においては、通常、部屋ごとの温度差を少なくするために、1階と2階の間に断熱材は入れません。本件の要因は、1階と2階の空間に強烈な冷気が入り込んでいるように思われます。断熱材の欠損か、不適切な換気口の取り付けなどが考えられます。まずは、この1~2階の空間に冷気が入り込む箇所を探して断熱処理することで解決できると思われます。
なぜ、2階の床や畳にカビや結露が発生するかというと、1階の天井は暖房熱が上昇して天井の温度を上げるため露天温度にならないからです。その点、2階の床は1~2階の空間の冷気によって常に露天温度以下になっているものと思われます。また、1~2階の空間に温風を流し込むことができれば、2階床の結露や畳のカビを防ぐことができます。