高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

構造・建材について

断熱性や防音性、構造の強さなど

2022.10.11

セルローズファイバーの施工

質問者/ss−bj

断熱性能についての相談です。
といっても、もう家は出来上がり、暮らしている状況ですが、初めての冬を迎え、意外と寒い室内に、工法について不安になりました。

我が家は設計士の勧めでセルローズファイバー「ダンパック」による“外張断熱”で、セルローズファイバーの性質や、外張断熱にして通気を良くすることで、断熱効果と壁の内側に湿気を溜めないことがメリットだと聞いています。

そのセルローズファイバーは30でサイディングの内側の板に吹き付けています。

ペアガラスの採用などもあって、確かに温かいとは思いますが、部屋の温度の下がりも早く、断熱効果に疑問を持ちました。
また、セルローズファイバー関連のサイトを見ると施工が大抵100mm程で、不安になってきました。

設計士は身内で、普段一般の住宅を手掛けることはほとんどなく、この工法での家づくりも初めてだったようです。

設計士にもいろいろ確認してもらっていますが、なかなか返事の無い状況です。自分も設計士任せではなく、いろいろ調べておくんだったなぁ、と今になって思っているところです。


居住地は九州の少し山あいです。

よろしくお願いします。

セルローズファイバーはグラスウールなどと同様の空気を静止させて断熱を行う断熱材です。
透湿性が良く、湿気を含有し難いなどの特徴を持っております。
外断熱との記述がありますがセルローズファイバーは、外周壁の外側に面する素材に吹き付け密着する構造が基本です。
厳密にいえば、これを外断熱とは云いません。

特殊なセルローズファイバーを圧縮して支持力を持たせ、柱の外側に張り付け、その外側に外壁を取り付け施工すると外断熱構造になります。
本件は吹き付け施工なので外断熱ではないと思われます。

仰せのようにセルローズファイバー30ミリでは、地域が九州と云えども決して満足な断熱の厚さと云う事でありません。
断熱材は、その素材の厚さ(M)を熱伝導率(λ)で割った数値が熱抵抗値(R)です。その逆数を熱貫流率(k)<平方メートル当りから逃げる熱量>と云います。つまり家の断熱材の厚さも重要な要素になっています。

セルローズファイバーは、他のロックウールやグラスウールより熱伝導率の低い高性能である事に違いはありません。
セルローズファイバー断熱材の厚さを壁いっぱい(100ミリ以上)に吹き付けするとこれは完全に内断熱になります。
昨今、過剰に評価されている外断熱の構造に似せるため、本件のような施工を行った可能性も考えられます。

本件の出来あがった家のセルローズファイバーは、優秀な断熱素材である事に変わりありません。
断熱材の薄い分は暖房負荷を大きくするしかありませんが昨今は、高機能エアコンと云う、APF(通年エネルギー効率)の極めて高い暖房機がありますので、上手な使用法を熟慮すべきでしょう。