構造・建材について
断熱性や防音性、構造の強さなど
2022.06.21
断熱材と木材の選択について
質問者/愛媛県松山市・Aさん(公務員・男)
現在、新築を考えています。何社かと相談したのですが、やっぱり、断熱材で悩んでいます。最初の業者は高気密・高断熱を売りにしていて、外断熱でA社最新のNフォームをすすめられました。他の業者によると、同製品は水に弱く柔軟すぎて釘が立たないので合板が必要と言われました。四国なら外断熱の必要はないのではともいい、値段の高さもあったので内断熱で、同じくA社のSライトかD社のSフォームを提案されました。ただ、総合的な値段の点でまだ高いので、プレカットで安価を売りものにしている別の業者に相談したところ、うちは断熱材はグラスウールが標準だが指定のものも使えますよというものの、A社Sライトをいうと充填やカットに自信がなさそうで、加工賃をいただきますとも言われました。グラスウールをバチバチとホッチキスでとめるだけというのを見ると、なんとも耐久性に頼りなさを感じます。四国は夏の暑さが厳しく、冬も瀬戸内側なので乾燥した寒さが続きます。断熱材にはお金をかけてもいいと思っていますが、技術力のない業者に任せていいのかと不安になってきました。アドバイスをお願いします。
ついでで申し訳ないのですが、プレカット業者の仕様をみると、梁部分の大きな横柱が米産松とありました。外材は耐久性に問題があるのではというと、じゃ集成材にしますかと言います。確かに安定している集成材はプレカットに向いていると思うのですが、それが外材だとやっぱり腐れやシロアリの危険をはらんでいる言われていますが、どうなのでしょうか。
何を持って高気密・高断熱かなのですが、各業者が独自の判断で勝手にその言葉を使用しているようです。まず、その家の熱損失係数(Q値)を特定できるかどうかを確かめてください。温熱環境における熱収支計算書をしっかりと提示できるとしたら、本物に近いと思われます。松山市に建てる家は、完全に夏型対応を備えた性能が求められます。断熱材の種類もさることながら、窓の日射熱の遮蔽性能も考慮しなければなりません。
断熱材にはそれぞれ特徴の一長一短があり、どの断熱材が良いとか悪いとかと断ずることはできません。グラスウールは、乾燥した空気を静止させることで断熱効果を得ることができます。天井裏の断熱には向いている断熱材といえますが、四国でも夏場を考えると国の基準を無視しても北海道並みの厚さを敷設すべきでしょう。夏場の屋根材の温度が100度を超え、小屋裏気温が70度にもなるからです。また温暖地では湿度制御のできる性能なども考慮すべきでしょう。
樹脂断熱材にはスチレンフォームとウレタンフォームがありますが、いずれもグラスウールより断熱性能が高いのが特徴です。しかし、ステレンフォームは熱に弱く、ウレタンフォームは火に弱いという弱点もあり、また相当、施工手法に長けた方々でなければ十分な性能を得られない場合もあります。
温暖地の家づくりは、断熱・気密手法と換気システムが大きく関わってまいりますので、施工業者の知識と技術力が求められます。断熱や気密手法については、本サイトなども参考していただき、さまざまな情報を集約してください。
温暖地に外断熱など必要ないのではないかという議論も多く存在します。日射熱を入れて、構造体がその熱を吸収して蓄熱すると、冷房負荷が大きくなるからです。無防備な外断熱は、場合によって温暖地に向かないという意見も一理あります。温暖地で外断熱を行う場合、それ相応の他の機能、性能と整合させる必要がありますが、そのような外断熱の家は、温暖地でも優れた快適性を維持できますし、耐久性も高くなります。
プレカットの場合、寸法が正確に出来上がり、工程が管理できるために割と安価に建築できるようになりました。梁などの横架材は無垢の木材より、集成材の方が狂いの仕方が少ないのでリスクは少なくなるでしょう。耐久性には特別、大きな違いはないと思われます。またシロアリ対策については、外材とか集成材の問題でなく、施工時のシロアリ対策の有無が課題となります。
いずれにせよ、温暖地の家づくりは、寒冷地より多くの機能と性能が要求されますので、十分に吟味され、悔いの残らない家づくりを楽しんでください。