高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

工事ミス・トラブル

床下浸水やアルミサッシの歪みなど

2023.02.06

エアコンの性能不足

質問者/福島県会津若松市・Yさん(会社員・44歳・男)

 昨年の6月に新築したものですが、エアコンの性能不足で主寝室(7.5畳)が暖まりません。今冬は最低気温でー5℃くらいになりましたが、エアコンが2.2kWhですので、ヌルイ風しか出ないのです。施工会社はエアコン暖房をすすめたのにも関わらず、畳数に合わないエアコンを入れた結果がこうなっています。
 エアコンメーカーにも問い合わせたところ、明らかに性能不足で、最低でも2.5kWhまたは2.8kWhのものが必要とのこと。施工会社からの回答は1階の高性能エアコン(4.0kWh)を24時間つけっぱなしにし、さらに2階の部屋のドア全部を開けっ放しにしておけば大丈夫とのことでしたが、そんなの到底受け入れられないものです。過日、施工会社の営業マンも導入したエアコンでは暖房が効かないと、ハッキリ私に言ってきました。
 施工会社へは暖かい風の出るエアコンを無償で入れるように要求していますが、3週間経っても何の連絡もありません。設計時にも2階のエアコンは真冬になると暖房が効かないなんて説明は一切ありませんでした。アドバイスをお願いいたします。
 本件はエアコンの容量不足というより、家の断熱・気密性能の不足といえます。エアコン暖房機は、外気の空気が持っている熱を室内に運び込んでくる機械です。 エアコンの基本メカニズムは、外気温から10℃の熱を室内に運び込み、室温にその10℃を加温する装置です。
 例えば室内気温が5℃の時、エアコンの室内機から吹き出る熱は、10℃加熱の15℃ということになります。ところが、家の断熱や気密性能が悪くて温めた熱を逃がしていると、いつまでも15℃の熱しか出てこない理屈になります。家の性能が伴った家で、室内気温がエアコン吹き出し気温の15℃になれば、室内機から出る温度が25℃となって暖房空間となります。
 断熱・気密のしっかりした家なら、7.5畳程度の部屋では2.2kWhで充分に間に合います。Yさんが仰せになっている2.2kWhというのは、定格のことであり、最大暖房能力は少なくみても、3倍以上の6kWhもの暖房が可能です。施工会社の方が主張する容量不足とは、その家のQ値(熱損失係数)を加味したからでしょう。家の温熱性能が上がれば(Q値を下げれば)2.2kWhのエアコンで充分に暖房可能です。
 本件のようなトラブルがあちこちで多く発生しているのは、住んでからわかる断熱や気密性能が伴う温熱環境を、施工側もユーザー側も重視しなかったことが要因です。だからといって、素人の建主さんに責任を押し付けることなどできませんが、このような事案を参考に、今後、家を計画される方は賢明な対応をすべきでしょう。
 本件は、すでに出来上がった家なので、断熱・気密の性能をあげる改良は、できなくはありませんが、とても困難だと推察されます。この家で暖かく過ごす方法としては、深夜電力を用いた蓄熱暖房機を設置してベース温度をつくる方法があります。蓄熱暖房機であらかじめ10℃以上に室温を温めておくと、エアコン吹き出し温度はすぐに20℃以上で吹き出し、暖房空間を短時間でつくりだします。
 このような温熱環境に関する補充暖房設備の無償対応の是非は、その請負契約の約定などによって異なりますので一概には言えませんが、図面や仕様書に断熱材などの仕様が記載されていると思われることから、とても困難だと思われます。
 いずれしても、住んでいる限り永遠にこの寒さや暖房費がついて回りますので、費用面もありますが、断熱・気密の性能が上がるような改善を行うのがベストです。