高性能・健康住宅「ファースの家」開発本部株式会社福地建装

NPO住宅110番・相談回答集

家の外回りについて

外壁や屋根のデザイン、土地の水はけなど

2013.02.22

サイディングのクラックについての質問をお願いします

質問者/神奈川県横浜市・SMさん(無職・52歳・男)

 住宅110番さんのホームページにも、何件かのサイディングのクラックについての質問が掲載されていますが、私も同じようなことで頭を悩ませております。
 我が家は注文住宅で、新築して4年半になります。最近まで気がつかなかったのですが、そのきっかけは一部の角が三角に割れ、補修をした箇所の色が変色してきたことで分かりました。家の周りを一周してみると、ざっと見ただけでもなんと10ヵ所近くクラックがあることが分かりました(クラックというより完全に破損状態の箇所もあり)。施工時に破損した箇所もあるようです。早速、建設会社に話をして見てもらい、次のような説明を受けました。
 クラックの発生する原因としては次のようなことが挙げられる。
1.芯の木材の伸縮やねじれによる。
2.サイディングと木材の伸縮率の違い。
3.サイディングのそりなどによるため。
4.釘打ちの穴から水が浸透し、それが凍結し膨張するため。

 対応としては、
1.部分的に張り替えてもその部分だけ色が変わってしまうし、途中を剥がすとその上の部分の釘が浮いてしまい、張り替えるなら最下部から最上部まで縦1列張り替えをしなければならない。
2.割れた部分を補修した場合はコーキングの色が目立っておかしくなる。
3.張り替えた場合、下の防水シートに傷を付けたり、釘の穴の位置が違って、その箇所から雨水が浸透し、かえって悪い影響を与える。
4.割れていなくても雨水は防水シートとサイディングの間を流れているので、割れた箇所の補修は必要ない。

というような説明を受けました。発生原因は私にも大体わかりますが、4.の凍結、というのは原理は分かりますが、あまり納得できません。張り替えまではしなくとも、割れた箇所の補修は必要ではないかと思うのですが、実際はいかがなのでしょうか? ほんとうに補修をしなくても建物に影響がないのであれば、見栄えが悪いだけで済むと思いますが、建物自体に影響が出てくるようだと困ります。
 参考までに写真を貼り付けますので、アドバイスを宜しくお願い致します。

(施工時の補修の跡と思われる箇所)

 写真の色が日向と日陰で違っていますが、同じ一軒の建物です。4枚の写真は全部別の箇所です。建物の構造は木造2階建てで、基礎はベタ基礎です。参考までに建坪は間口4軒・奥行き7軒弱の細長です。
 質問事項を下記にまとめますので宜しくお願い致します。
【質問事項】
1.部分的な張り替えはできないのでしょうか?(色が合わなくても良い)
2.張り替えた場合の防湿シートに与える影響はいかがですか?
3.張り替えないとすれば、割れた部分の補修(シール材で埋める)などの必要はあるでしょうか?
4.現在のサイディングはこのままで、この上から被せられるような外壁材はあるでしょうか?
5.他の外壁材(例えばサイデリアのようなもの)で被せたとしても、雨といの金具の穴やエアコンの配管をとめている金具などの穴が空いてしまうと思いますが、防湿シートへの影響などいかがでしょうか?
6.このような場合、保証に関してどの辺りまで建設会社に要求できるものなのでしょうか?

 補修、張り替えなどに関して良い方法があれば教えていただきたいのですが、どうぞ宜しくお願い致します。
 質問のような窯業系サイディングが施工後において、自然にクラックが生ずる場合の原因は、取り付け施工前の部材含水量が何らかの理由でやたらと多い場合に生じます。施工後に乾燥し、大きく収縮してヒビが入ります。しかし、この場合は縦か横に長く入ります。本件は写真が添付されており、そこから判断するには、施工の際のミスであると思われます。サイディングのコーナーに、しかも、上下にこのようにランダムに生ずる理由を、施工以外に理屈をつけることは困難です。
 業者が説明する次の理由において、「1.芯の木材の伸縮やねじれによる。2.サイディングと木材の伸縮率の違い。3.サイディングのそりなどによるため」は、支持釘の外側のコーナーだけが割れる理由にもっとも近いと思われます。写真を見なければ、この理由と断ずるかもしれませんが、それであれば、サイディングの全体に大きな波打ち現象が現れます。「4.釘打ちの穴から水が浸透し、それが凍結し膨張するため」。これについては横浜地域で浸透凍結の理由が納得できないのは当然でしょう。それは、釘頭から浸透した湿気で、サイディングが積層剥離を起こす場合があります。しかし、写真でそうでないことが明白です。
 本件の対処方法として、現在、漏水などのトラブルがないのであれば、もっとも適切なのが、写真にもあるようにサイディング専用パテ補修が有効と思われます。
 施工会社への保証の求め方ですが、築4年半の経過後において大きく求めるのは困難と思われます。施工ミスを指摘してみたところで、施工中であればともかく、竣工引渡しから4年半と大きく経過した後の指摘に説得力はありません。しかし、パテ補修程度であれば費用があまりかかりませんので、上手に嘆願して、できるだけ無料に近い施工費でお願いしてみてください。開き直るのだけは絶対に禁物です。
 補修の方法ですが、現在のサイディングをそのままにして、その上から胴縁を打ちつけ、断熱材の裏張りをした軽量の金属材サイディングがもっとも有効です。サッシ、開口部周りは水切りをまわします。フードや貫通部分だけは一旦取り外すことになります。